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開発&コンサルティング

第39回 人の管理は、プラン、ドゥ、チェック、アクションではない

管理とは何かとお聞きすると、ほとんどの人が、プラン、ドゥ、チェック、アクション、と答える。では人の管理も同じかと言うと多くの人は同じだと言う。しかし、そうではない。人の管理とは、目的を達成できるように人に仕事(作業)をしてもらうことである。自分で行う仕事の管理は、プラン、ドゥ、チェック、アクションで良いが、人に仕事してもらうための管理はそうではない。

まず、多くの人は管理と管理過程とを混同している。そこで、管理と管理過程とを区別しなければいけない。プラン、ドゥ、チェック、アクションというのは管理過程(手順)である。次に、管理(マネジメント)と作業(ワーク)とを区別しなければいけない。人の管理は管理者が作業することではない。人に作業をしてもらうことである。人が作業をするのを管理するのである。そんなこと知っている、と言うかもしれない。では、なぜ、人の管理をプラン、ドゥ、チェック、アクション、と言うのか。これでは管理者が自分でドゥ(作業を実行)することになるではないか。

一般に管理過程といえば、プラン、ドゥ、チェック、アクション、またはプラン、ドゥ、スィーという。どちらもドゥ(実行する)が入っている。これはおかしい。なぜかというと、ドゥは、「実行する」の意味で使っているからだ。「実行させる」または「実行してもらう」ではないのである。

例えば、自分で在庫管理する場合のように、自分で計画を立て、自分で実行するのであればこれでいい。ところが、人に作業をしてもらうのであるから、これはまちがいである。したがって、プラン、ドゥ、チェック、アクションというのは、自分で実行する場合の管理過程である。よって、人を管理する場合の管理過程を、プラン、ドゥ、チェック、アクションとするのは、まちがいである。

以上のことはずっと以前から疑問に思っていた。しかし、どの本にも書いていないし、誰からも聞いたことがない。誰も疑問に思わないで使っているらしい。ふしぎなことである。また、アクションというのは、問題点を確認し、対策(計画)を立て実行することであるから、結局、この管理過程は、計画し、実行し、確認する、の3つになり、プラン、ドゥ、スィーと同じになる。

もう1つ疑問がある。ドゥ(実行)は管理なのであろうか、あるいは管理の一部なのであろうか、という疑問である。自分で実行したり、人に実行してもらったりすることが管理なのか。管理(マネジメント)とはそもそも実行することではないはずだ。何かを実行することを管理するのである。したがって、管理過程に実行は含まれてはいけないのである。

では、本当の管理過程とは何か。実は、管理過程学派というのがあって、多くの学者がいろいろな管理過程を提案している。学者によっていろいろだが、最もオーソドックスなものは、計画設定、組織編成、動機づけ、統制、である。すべて、人に仕事をしてもらうためのものである。組織編成とは、仕事の役割分担と人の配置、指揮命令系統などを決めることである。動機づけとは、人が積極的に仕事をするように仕向けることである。

ところで、計画と統制だけはどこの企業でもきちんとやるが、組織編成と動機づけはあまりきちんとやらない。だから管理が不十分となり、目的が達成できないのである。この原因は、人の管理をプラン、ドゥ、チェック、アクションと捉えているからにほかならない。

Ⓒ 開発コンサルティング





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